9月の季節花クラスレポ
「真似した、真似された!」と花業界の知的財産権について

やっと二回目のワクチン接種を終えた Yuki です。皆さんは無事に二回の接種は終わりましたか?
私が住む世田谷区は俗にワクチン難民と言われるところで、接種予約にはかなり苦労しました。たまたまお隣の狛江市の余った枠で世田谷区民が接種できたりしたので、何とかかんとか接種できた感じです。

二回目の副反応で一番何が辛かったかというと、私は関節の痛みでしょうか。腕の痛みや38度台の熱はまぁ何とかなるのですが、関節が痛い。私は何故か特に右足の付け根のところがじっとしていられないくらい痛かったです。痛み止めの薬を飲んでもこの関節痛にはそんなに効かなかったかな。
もちろん副反応なので数日経ってこの関節痛は収まりました。まだ腕は痛いですけどね。

さてさて、8月は暑さのために季節花クラスはお休みでしたので、先日久しぶりに季節花クラスを開催しました!7月の花と9月の花はほんとにガラッと変わりますね!


市場に出回る切り花は少し季節の先を行くものが出回っていますので、既に秋ムード。栗や梨も出回ってるからもう秋ですよね!私は毎年栗拾いに行くのを楽しみにしているのですが、実は栗拾いってなかなかやろうと思っても出来ないもので。まず、行く前に必ず拾える栗があるか電話確認をお勧めします。ニッチな需要があるところにはあるもので、他の人にたくさん栗が拾われて栗が残っていないんですよ。
私は今年色んな栗園に栗拾いができるか電話確認しましたが、どこもかしこも拾える栗が無い!たぶんね、10件以上は電話したんですよ。それでもダメ。唯一、拾える栗は少ないけど一応やってますってとこに片道1時間半くらい掛けて行ったら「本日は栗が無くなったので閉園しました」って張り紙がしてあってめっちゃショックを受けました。。たぶん今年はもう栗拾いは無理ですね。私の楽しみが。泣 週末は競争が激しいので行くなら平日をお勧めします。

さて、話が逸れましたが、秋花材を使ったブーケを今月は束ねました。私のデモブーケがこちら。

それでは生徒さんの作品をご紹介していきます!今回は秋の繊細な草花と質感や風情の異なるネイティブフラワーを合わせた異色の組み合わせのブーケです。

今回生徒さんとお話をしていて、「誰々が自分のデザインの真似をしている!!」みたいな話を聞きました。ちなみに、真似している、真似されてるって言っているのも私の生徒さんではなく関係のない花屋です。完全に第三者。

「あぁ、日本の花業界のあるあるだな~。」って思いました。

今日はこの真似るってことと権利関係の話をしていきたいと思います。
なお、私は以前知的財産(特許、意匠、商標など)関連の仕事をしていた経験があり、国家資格を持っています。国内外での知財(知的財産権)の出願・申請や各種係争案件なども担当していました。今回は触れませんが、植物の品種登録(種苗法)も知財に含まれます。

それでは私が考える、花業界の知財関連の話をしていきます。

主に花業界で「真似した、真似された!」に関わってくるのは意匠権です。デザインに関わる権利です。ただ、大前提として生花のデザインではこの権利は取れません。自然物を扱うものでは意匠権は取れないのです。全く同じものを量産するのが不可能だからです。
「真似された!」という心情はわかります。ただ、そもそも別にそれが違法であるわけでもなんでもない。別の観点から強い言い方をすると、自然物の恩恵で仕事をしている私たちが「真似した、真似された!」を言うのは筋違いというか。そんなところに目くじらを立てるよりも、自然物に感謝した方がよっぽど自分のデザインの研鑽に繋がると思います。

さて、最近生徒さんでアーティフィシャルの方が多いのでアーティフィシャル業界の話にも触れますが、アーティフィシャルでは意匠権は取れます。
ただ、何となくアーティフィシャル業界を眺めていると、「真似した、真似された!」が生花業界より遥かに強い・多いと感じます。そして、意匠権が認められるので皆さん躍起になって意匠権を申請する。そして「これは私の権利です!!!」とものすごく主張する。
私からすると、何かいびつだなぁと感じるのです。もしね、そのデザインが生花なら意匠は取れないんですよ。アーティフィシャルだから取れている。

ちなみにね、そういう知財権って取るのが難しそうに感じるかもしれませんが、意外に簡単に取れるんですよ。だから、正直全然大したことないデザインでもアーティフィシャルの意匠権って取れるんです。

生花へのオマージュがあるべきアーティフィシャルが、人工物である利点を活かして権利を取ってその権利を強く主張するのって、何かいびつな構造に感じるのは私だけでしょうか…?そういう方たちってあまり生花を重んじていないんじゃないかな?というように感じます。
たぶん、「花が好き」「美しいものが好き」ってプラスのエネルギーよりも、何か妬み嫉みやビジネス臭のようなものを強く感じるので私はあまり好きではないです。そういうものに捕らわれていて美しいものが生み出せるのか疑問です。
もちろんね、権利として取得できるのでそれは個人の自由ですが。別にダメなわけじゃないですよ。

また、意匠や商標を取得していることを前面に押し出すことにも違和感を感じます。花業界じゃなくて一般的に、知財は取得していてもサラっとどこかに記載して終わりというケースが多いです。もっとアピールするべき点が多いから。逆に知財権を前面にアピールしていると、そこしかアピールポイントがないあまり魅力が無い物なんだなと感じます。「意匠権あります!」じゃなくて、その意匠の内容がどれほど素晴らしいかをアピールした方がよっぽどいい。そこを履き違えているケースが多い。

生花業界で言うと、「パリに花留学してきました!」みたいなのを大々的に言っている人も注意した方がいいですね。要するに知財権じゃないですけど、何かしらの看板に頼らないと他にアピールする点がないってことを表明しているようなものです。そういう人に限って、割と短期でしか花留学してません。数年しっかりパリの花屋で働いていたような人は、私の知る限り大体みんな「花留学してました!」みたいなことは前面に押し出しません。それよりも自分のPRするべき強みがあるから。

さて、生花業界での「真似」についてですが、もっと上手くなりたいという過程においては、私はどんどん真似をすべきだと思います。花屋も職人商売ですが、師匠とか上手い人を真似して上達していくものです。だから私は遠慮なく真似するべきだと思います。権利関係においても真似することがダメなんてないわけですし、誰にも遠慮なく真似するべきです。
私が度々ブログで、上達の早道は私のデモ作品をよく見ることと言っていますが、要するによく観察してその特徴を真似ましょうということです。

よく見て真似して真似して上手くなったら、そこに少し自分の独創性を足せばいいのです。
はっきり言って、フラワーデザインなんて腐るほどありふれていて誰もが誰かの真似で成り立っています。そこに少しのオリジナリティが足されたものです。私のデザインだって100%オリジナルだなんて全く思わないです。出来るだけ自分だからこそ出せる独創性を出そうとは思いますが、それでも他の人と被る部分も多々あるでしょう。

生花業界では生憎知財は取得できませんが、世の中の知財権もそのほんの少しの独創性で成り立っています。そもそも様々なデザインが溢れている中で何をやっても大体既に誰かが似たようなことをやっている現状ですので、そこで「真似した、真似された!」の話をしても時間の無駄です。

色んな情報があって、それに日々振り回されることもあるかと思いますが、きちんとした知識を持つことはとても大事だと思います。知識があれば、自分で判断して行動ができる。余計なことに振り回されない。自分にプラスになるようにも活かせる。花業界に限らずね、生きていく上で大事だと思いますよ。確かな知識を持つことって。

ちなみに商標権(名称の権利)は生花でも取れます。そしてもちろんこれは同じ名称を使っちゃダメです。こっちの方が明確でわかりやすいですね。

今回はちょっと難しい話で長くなってしまいましたね。
知財に関してはもっと奥が深いのでここに書いた事が全てではありませんが、皆さんは知財の専門職に就くわけではないのでこれくらいの基本を理解していればとりあえずはいいのではないかと思います。

ご参加いただいた皆様ありがとうございました!
来月は10月22日(金)~24日(日)でハロウィンブーケの予定です!詳細の告知は来週かな?

それでは皆さん、秋の味覚を楽しみながら良い日々をお過ごしくださいねー!

 

 

一日一回クリックでランキングにポイントが加算される仕組みになっています。
お帰り前に下記の応援バナーをクリックしていただけると嬉しいです^^

にほんブログ村 花・園芸ブログ フラワーアレンジ教室・販売へ
にほんブログ村
応援ありがとうございます!